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2024.06.21
中小企業の生命線「資金繰り」を改善してアクティブな経営へ。決算前検討会とは
税理士法人AOIみらい CEOの杉山です。
今回の記事では、『決算前検討会』についてお話します。
「利益が出ているのに、なぜか手元に現金がない」「年に一回しか数字が分からないので不安になる」「予定納税額を見て驚いてしまった」「幹部や社員が自社の数字を知らないため、危機意識を共有できない」などと感じた経験はありませんか?
毎年の申告期限の直前にしか決算、納税額を把握していないとこうした事態に陥りがちです。
資金繰りに苦労しないサイクルを作る鍵は「決算前」にあります。決算の約3ヶ月前から今期の利益、納税の着地を予測し、来期以降の見通しを立てることで、資金繰りの負担が軽減されます。
AOIみらいの税務会計顧問契約では、「決算前検討会」を実施しています。
なぜ資金繰りの不安がつきまとうのか
資金繰りの課題として、一般的には売掛金の回収遅延、季節傾向による売上変動、在庫管理の難しさ などが挙げられますが、決算を何度か経験すると概ね1年間の流れは見えてくるものです。
それでも何故、資金繰りの不安や課題がつきまとうのか。
一番の理由は「何が原因で資金繰りが厳しいのか」を正確に把握できていないからです。収支計画がなく、計画と実績の差分を把握できない、その結果、現状が計画達成なのか未達なのか判断できないサイクルになってしまうのです。
特に借入を行っている場合は、利益・現金・納税額の認識にズレが生じやすいので注意が必要です。
裏を返せば、収支の計画があり、実績差異をチェックする体制があれば、何が資金不足の原因なのか、何をすれば解決するのかが分かるのです。
事前予測で資金繰りの不安を解消。決算前検討会で出来ること
・決算前に最終利益・納税額が分かる
・来期の見通しがわかり、経営計画を策定できる
・先行投資、コスト削減 の判断ができる
・経営計画の予実が分かる
このようなサイクルを作るために、決算の約3ヶ月前から最終売上・利益を予測する。予測数値が分かったら、決算月までに出来る節税対策を検討する。
さらには、決算前の段階から来期の見通し・経営計画を策定する。これらを行うのが『決算前検討会』です。
実務レベルに書き換えると、これらが出来る状態になることを目指します。
・売上・原価・経費 をもれなくすべて把握する
・1年単位で売上・原価・経費の予測を立てる
・予測に対しての実績を管理し、差分を把握する
・日次・週次・月次で予算やキャッシュフローを管理
他にも、決算前検討会を行うと以下のことが実現できます。
・経営課題の早期発見
・リスク管理の強化
・経営層の方針が従業員に伝わる
今後の見通しも立てられる。シンプルな経営計画の作り方
経営計画という言葉を、「自分には難しい」「Excelで細かく作らないといけない」と捉えている経営者様も多いですが、最初からガッチリした計画を作り込む必要はありません。
まずは、今期と同じペースなら売上・経費はどのくらいか」という実績ベースの予測から始めればよいのです。今期は実績が確定しているので、同じペースなら売上・経費がどの程度かは見通しがつきますよね。
実績に借入返済額や利息も加味して、支出の全体を把握。そこから、来期◯◯万円の利益を確保するにはどうしたらよいか?の検討を始めます。検討する際は、いくつかのパターンを出して選択するとよいでしょう。
代表的なパターンは以下のとおりです。
①売上を維持してコストを減らす
・経費を削減する
・原価率を見直しする
②コストを維持して、売上を増やす
・販売件数(個数)を増やす or 単価を上げる
・既存商品の売上拡大 or 新規商品のリリースする
③コストも売上も増やして、利益を確保する
・売上拡大のために人員を採用する
・設備投資をして業務効率化、サービス品質強化を行う
・追加コストを加味して、必要な売上額を算出する
そして、方向性を決めたらざっくりとした来期の経営計画を立てます。
これなら出来そうな気がしませんか?
まずは『現状の見える化』が第一歩です。感覚的な経営から脱却し、支出の種類と金額を理解することで、問題点や施策の道筋が見えてくるはずです。
シンプルな経営計画の作り方は、具体的な手順・フォーマットを別途紹介したいと思いますので、中小企業経営者様の参考になれば幸いです。
決算前検討会は事前予測によって資金繰りの不安を解消し、企業成長の計画作りにも有効です。単なる決算申告ではなく未来に繋がるアドバイスがほしい、資金繰りに不安を解消したいとお考えであれば、税理士法人AOIみらい(東京都新宿区)にお気軽にご相談ください。
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