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2024.10.11

【2024年12月】マイナ保険証への移行で企業が対応すること・従業員に伝えること

2024年(令和6年)12月2日から、マイナンバーカードと健康保険証を一体化して使用する「マイナ保険証への移行」が開始されます。これにより、現在の健康保険証は廃止され、2024年12月2日以降は新規発行されなくなります。

この記事では、企業経営者・労務担当者向けに、マイナ保険証の概要・企業が対応すべきことを解説いたします。


マイナ保険証のメリット

マイナ保険証は、マイナンバーカードを健康保険証として利用できる仕組みです。

利用するメリットは以下のとおりです。

病院での受付がスムーズになる
これまでは医療機関や薬局で、飲み合わせの悪い薬はないか、どのような既往歴があるか等の都度確認が必要でしたが、マイナンバーカードを保険証として利用することで医師・薬剤師への情報提供がスムーズになります。
保険資格の情報確認も、顔認証付きカードリーダーを使って資格情報を自動取得できるため、医療事務の負担が軽減されます。

手続きなしで高額療養費の限度額を超える支払いが免除
従来は、支給を受けるために、医療機関・薬局の窓口で一度全額を支払った後、支給申請書を提出する必要がありました。マイナンバーカードを健康保険証として利用すると、申請に必要な情報提供に同意すれば、限度額適用認定証がなくても、公的医療保険が適用される診療に対しては限度額を超える分を支払う免除されます。


医療費控除の申請がスムーズに
医療費控除を受ける場合、これまでは医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告時に添付する必要がありました。今後はマイナポータルとe-Taxを連携し、医療費控除申請をできるようになります。そのため、紙の領収書を集める必要もなくなります。


就職・転職・引越しに伴う切り替え手続きが不要
従業員の異動に伴う健康保険証の切り替え手続きが不要となります。ただし、保険者への新規資格取得や資格喪失時の申請手続きは引き続き必要です。

参考:マイナポータル マイナンバーが健康保険証として利用できます

マイナ保険証への移行スケジュール

マイナ保険証への移行スケジュールは以下のとおりです。

厚生労働省|マイナ保険証の利用促進等について から引用

2024年(令和6年)10月頃から、マイナンバーカードを取得していない人・健康保険証の利用登録をしていない人向けに資格確認書が発行されます。マイナンバーカードを所有していない場合も「資格確認書」を医療機関等の窓口で提示することで、一定の窓口負担で医療を受けられます。

2024年12月2日に現行の保険証は新規発行されなくなります。発行済の健康保険証は、その後1年間は使用が可能です。ただし、経過措置の期間中に発行済保険証の有効期間が終了した場合、転職・転居で保険者の異動が生じた場合は失効します。

2025年12月2日に現行の健康保険証が終了し、マイナ保険証へ完全移行されます。


企業が行うこと

従業員への説明・周知

マイナ保険証への切り替えは従業員自身が行う手続きのため、労務担当者は従業員への説明・周知が必要です。期限が近づくまでマイナ保険証の切り替え手続きが完了しない従業員がいる可能性もあるため、繰り返し説明と周知を行いましょう。

説明をする際以下を伝えると切り替えがスムーズに進むでしょう。
・マイナ保険証のメリット
・現行の健康保険証を利用できる期限
・マイナ保険証の手続きは原則として生涯に1回のみ、本人が行わなければならない

新制度における業務フローの見直し

新制度への移行をスムーズに行うため、健康保険証に関連する業務フローを見直す必要があります。

①入退職時の手続き
■入社時
従業員にはマイナンバーカードの取得を促し、マイナポータルで健康保険証として利用する設定を行うよう案内します。入社手続きの際にマイナ保険証の情報に基づき、健康保険の資格取得届を作成します。

■退職時
従業員にはマイナポータルで健康保険の資格喪失手続きを行うよう案内します。また、企業としても、健康保険組合に退職届を提出するなどの手続きを行います。

2024年12月2日以降、健康保険証は新規に発行されませんが、会社で健康保険の資格取得・喪失等の手続を行うことは変わりません。資格取得の手続が完了していないと、医療機関等でオンライン資格確認ができず、社員が医療機関で受診できない可能性があるので注意しましょう。


②扶養親族が増えた場合の手続き
扶養親族が増えた場合、その方の状況や健康保険組合の規定によって、手続きが必要になる場合があります。手続きが必要となるケースとしては以下のとおりです。

■配偶者や子供など、被保険者と生計を一つにしている親族が新たにできた場合
健康保険の被扶養者として追加する手続きが必要になります。健康保険組合に「被扶養者(異動)届」などの書類を提出する必要があります。

■すでに被扶養者になっている方の収入状況が変わった場合
収入が増えて被扶養者の要件を満たさなくなった場合、被扶養者から外れる手続きが必要になることがあります。

具体的な手続き方法、必要書類は健康保険組合によって異なります。また、マイナンバーカードの利用が進むにつれて、手続きがオンライン化されるケースも想定されます。詳細は加入している健康保険組合にお問合せください。

従業員が行うこと

マイナンバーカードの取得および保険証利用登録

マイナンバーカードの取得と保険証利用登録は、従業員自身が行う必要があります。マイナンバーカードを取得していない場合は、まず申請を行ってください。

郵送・オンライン・一部の証明写真機で申請が可能です。詳細はマイナンバー総合サイトをご覧ください。


マイナンバーカードを取得している方は、健康保険証の利用登録を行います(マイナンバーカードを所有しているだけではマイナ保険証として利用できません)。

利用登録方法は厚生労働省の特設ページマイナポータルに掲載されていますので、従業員にもご案内ください。

マイナンバーカードを所有していない場合の対応

2024年12月2日以降、マイナンバーカードを取得していない場合は、被保険者資格の情報を記載した「資格確認書」を利用することで、医療機関を受診することができます。資格確認書は、居住地域の市区町村役場・加入中の健康保険組合から交付されます。

2025年(令和7年)12月2日以降はマイナ保険証に移行されますので、それまでにマイナンバーカードの取得・健康保険証の利用登録を完了させましょう。

また、資格確認書の有効期限は原則5年ですが、以下の場合は有効期限が短くなることがあるため注意が必要です。
・後期高齢者(75歳以上)の方: 75歳到達時点で有効期限が切れます。
・任意継続被保険者の方: 2年間の任意継続期間満了時に有効期限が切れます。

なお、厚生労働省のホームページに「マイナンバーカードの健康保険証利用についてよくある質問」が掲載されています。併せてご確認ください。

まとめ

マイナ保険証への移行は、転職・離職による健康保険証の切り替えが不要なため、企業・従業員双方にとって手続き時間削減に繋がります。

ただし、従業員による手続きが必要なので、繰り返し周知すること・手続き不備があった場合の対応・従業員からの質疑応答、新たな負担が出てくる可能性も考えられます。制度開始までに余裕を持って準備をしておきましょう。

弊社には社会保険労務士も在籍しています。今回の改正に伴う疑問や不安があれば、東京都新宿区の税理士法人AOIみらいにお気軽にご相談ください。

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