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2024.11.26

2025年度(令和7年度)の税制改正はどうなる?各省庁の主要な要望まとめ

2025年度(令和7年度)の税制改正について、公表の時期が近づいてきました。各府省庁からは、8月に税制改正要望が税制調査会に提出されており、12月中旬に税制改正大綱としてまとめられます。

この記事では、投資による資産形成促進・子育て支援・中小企業支援・インバウンド対策などを中心に、各府省庁の要望を紹介します。

資産形成・投資促進

金融所得課税の一体化(金融商品に係る損益通算範囲の拡大)

現在、上場株式等の譲渡損失と配当所得等の損益通算が可能ですが、この範囲を拡大し、公社債等や預金利子も含めた金融商品間での損益通算を可能にする案が検討されています。
(要望:金融庁/新設)

生命保険料控除制度の拡充

現行制度では、一般生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料の3つの区分で、それぞれ最大4万円の所得控除が認められています。今回の要望では、各区分の控除限度額を引き上げる案や、新たな保険商品を控除対象に追加する案などが検討されています。
(要望:金融庁/拡充)

死亡保険金の相続税非課税限度額の引上げ

現行の死亡保険金に係る相続税の非課税限度額(法定相続人1人当たり500万円)について、物価上昇等を考慮した引き上げが検討されています。
(要望:金融庁/拡充)


中小企業支援

中小企業者等の法人税率の特例の延長

現行の中小企業者等に対する法人税率の特例(年800万円以下の所得金額に対して15%の軽減税率)の適用期限を延長する案が検討されています。
(経済産業省/延長)

中小企業投資促進税制の延長

中小企業者等が一定の設備投資を行った場合に、特別償却または税額控除を認める現行制度の適用期限を延長する案が検討されています。デジタル化や生産性向上に資する設備投資を支援し、中小企業の競争力強化に繋がる税制です。(経済産業省/延長)

中小企業経営強化税制の拡充・延長

中小企業者等が経営力向上に資する設備投資を行った場合の税制優遇措置について、適用要件の見直しと期限延長が検討されています。特に、成長志向の高い企業向けの上乗せ措置の創設も視野に入れた拡充が検討されています。
(経済産業省/拡充・延長)

事業承継税制の見直し

法人版・個人版事業承継税制について、税制を最大限活用できるように、役員就任要件の見直し、特例措置の適用期間における事業承継の取組等を踏まえた必要な措置などが検討されています。
(厚生労働省・経済産業省/拡充)


子育て・住宅支援

子育て世帯に対する住宅ローン減税等に係る所要の措置の延長

子育て世帯を対象とした住宅ローン減税の特例措置について、適用期限の延長が検討されています。19歳未満の子供がいる世帯・夫婦のいずれかが40歳未満の世帯が対象で、通常の世帯に対して、借入限度額の引上げ、控除期間、控除率などが優遇されています。
(国土交通省・復興庁・こども家庭庁・環境省/延長)

老朽化マンションの再生等の円滑化のための組合による事業施行に係る特例措置の創設

老朽化マンションの建替え等を行う管理組合に対する税制上の支援措置の創設が検討されています。この措置は、マンションの再生を促進し、居住環境の改善と安全性の向上を図るものです。
(国土交通省/新設)


不動産・金融取引

特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に係る税率の特例措置の延長

特例事業者等が不動産特定共同事業契約に基づき不動産を取得した場合の所有権の移転登記等に係る税率の特例措置について、2年間(令和9年3月31日まで)の延長が検討されています。
(金融庁・国土交通省/延長)

過大支払利子税制における支払利子等の明確化

過大支払利子税制における支払利子等の範囲について、より明確な基準を設定する要望です。企業の国際取引における予見可能性を高め、適正な課税の実現を目指します。(例:海外からの借入を原資に低税率国籍の法人へ投資を行い、その 配当で利益を上げる一方、借入利息の支払いが損金算入されることを利用し日本国における納税を減らす)
(金融庁/新設)


 その他

医療・介護DXの推進に伴う税制上の所要の措置

医療機関等におけるデジタル化投資について、税制上の支援措置を講じる内容です。電子カルテの標準化・医療介護の公的データベースのデータ利活用促進・オンライン診療の普及促進など、医療・介護分野のDX推進を後押しします。(厚生労働省/新設・拡充)

免税制度の見直し

外国人旅行者向け免税制度について、空港等での混雑防止・外国人旅行者の利便性向上・免税店の事務負担軽減を目的とした見直しが検討されています。(例:消耗品の特殊包装廃止・消耗品の上限額撤廃)
(国土交通省/新設)

防衛力強化にかかる財源確保のための税制措置

防衛力強化に必要な財源確保のための、新たな税制措置の創設が検討されています。「防衛力整備計画」「令和6年度税制改正大綱」「経済財政運営と改革の基本方針2024」などを踏まえた税制措置の要望が出ています。
(防衛省/新設)


まとめ

今回紹介した内容は、各府省庁から提出された要望の一部です。要望詳細は各府省庁の公式サイト等に掲載されていますので、そちらも併せてご確認ください。

2025年度(令和7年度)税制改正大綱は12月中旬に公表される予定です。正式な発表があり次第、税理士法人AOIみらいの公式ブログで紹介いたします。

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