お電話でのお問合せはこちら
TEL:03-3369-8803

ブログ

2025.02.20

2025年(令和7年)1月から申告書等控えの収受日付印廃止。提出事実の確認方法、企業が取るべき対応策

令和7年1月より、各税務署での申告書等の控えへの収受日付印の押なつが廃止されました。この変更は、e-Taxの利用拡大・税務行政のデジタル化による事務負担の軽減を目的としています。

これまでe-taxを利用していない中小企業経営者・経理担当者の方は、新ルールへの対応が必要です。本記事では、この新ルールの概要・中小企業への影響と対策について解説します。


申告書の押なつ廃止 概要

対象となる書類
国税庁・国税局・税務署に提出されるすべての文書(申告書、申請書、請求書、届出書など)

実施時期
2025年(令和7年)1月1日から、すべての税務署で実施

具体的な変更点
・税務署に提出した書類の控えに税務署が行っていた、収受日付と署名の押なつを廃止
・必要に応じて、ご自身で控えの作成及び保有、提出年月日の記録・管理が必要
・当面の間の対応として、希望者には窓口で交付する「リーフレット」に、申告書等の収受日付・税務署名を記載したものを提供

※郵送による申告書等提出の場合も、切手を貼付した「返信用封筒」を同封して送付すれば、日付・税務署名(業務センター名)を記載したリーフレットが同封・返送される

参考:当分の間交付するリーフレットのサンプル
 

国税庁「申告書等の控えへの収受日付印の押なつの見直しに関するQ&A」から引用


提出事実・提出日の確認方法

提出事実と日付を確認する方法は、電子申告と紙での申告で異なります。

e-taxを利用して申請した場合

申告後にメッセージボックスに格納された受信通知により確認することが可能です。また、受信通知から電子申請等証明書の交付を請求することも可能です。

※個人の利用者が受信通知の内容を確認する場合はマイナンバーカード等の電子証明書が必要です。

紙で申告書等を申告した場合

確認方法は以下の4つです。

①申告書等情報取得サービス(オンライン申請のみ)
書面により提出している場合であっても、e-Taxを利用してPDFファイルを無料で取得することができます。なお、利用に当たってはマイナンバーカードが必要です。

②税務署での申告書等の閲覧サービス(税務署窓口のみ)
税務署の窓口で、ご自身が過去に提出した申告書等を閲覧することができます。提出した書類の種類、提出日、受付番号などを正確に伝えましょう。

③保有個人情報の開示請求の利用
税務署が保有する個人情報に対する開示請求により、提出した申告書等の内容を確認することができます(写しの交付の場合は1か月程度かかります)。

手数料は、300円、オンライン申請の場合は200円です。なお、法人の申告書等には利用できません。

④納税証明書の交付請求(オンライン申請可)
法人税申告書や確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額の証明書を取得が可能です。納税証明書では、提出年月日を確認することはできません。また、発行までに時間がかかる場合はあります。

手数料は、税目ごと1年度1枚につき400円、オンライン申請の場合は370円です。

参考:国税庁「令和7年1月からの申告書等の控えへの収受日付印の押なつについて


e-Tax活用のメリット

e-Tax(イータックス)は、国税庁が提供する国税電子申告・納税システムです。e-Taxを利用することで、所得税・法人税・消費税などの申告や、各種届出、納税手続きをインターネット上で行うことができます。

e-Taxのメリットは以下のとおりです。まだ導入していない場合は、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

①税務署窓口に行かずに申告・納税手続きが可能
e-Taxを利用すれば、税務署の窓口に行く必要がなく、24時間いつでも自宅やオフィスから申告・納税手続きが可能です。移動時間や待ち時間を削減でき、業務効率の向上につながります。


②ペーパーレス化・コスト削減

電子データで保存するため、書類の保管場所が不要です。また、書類の印刷・郵送、税務署に出向く交通費などのコストを削減できます。


③法定調書の申請・届け出等の手続きが可能

法定調書・届け出もetaxで提出可能な書類があります。

主な法定調書
・給与所得の源泉徴収票
・退職所得の源泉徴収票・特別徴収票
・報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
・不動産の使用料等の支払調書
・不動産等の譲受けの対価の支払調書
・不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書
・給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

届出手続き
・法人設立届出書
・電子申告・納税等開始届出書
・その他、国税関係法令に規定されている各種申請・届出

参考:e-Taxホームページ「法定調書の作成・提出について


④書類提出後も申告内容の修正をオンラインで対応可能
申告期限内であれば、訂正後の申告データを作成し再送信するだけで修正が可能です。税務署に訂正した旨を連絡する必要はありません。

※誤りがあった帳票のみでなく、全ての帳票を再度提出する必要があります。


⑤セキュリティの確保
e-Taxで送信される情報は暗号化通信が使用され、盗み見や改ざんの防止が図られています。マイナンバーカードを利用したログイン方式も導入されており、セキュリティが強化されています。

参考:国税庁発行リーフレット「e-Tax申告法人の4社に3社がALLe-Taxです!!(令和6年10月)


企業への影響と対応策

収受日付印の押なつ廃止に伴い、提出書類の管理がより重要になります。電子データでの保存や、リーフレットの適切な管理が必要です。

以下に対策例を記載しますので、自社の状況に合わせて対応を進めましょう。

①e-Taxの積極的活用
電子申告を利用すれば、メッセージボックスに格納される受信通知で提出事実と日付を確認できます。e-Taxへの移行を検討しましょう。

②紙提出時のルール策定
紙で提出する場合は、申告書等の控えに自身で提出日を記入、当面の間交付されるリーフレット(日付・税務署名入り)の保管などを漏れなく行いましょう。

③内部管理体制の整備
提出書類の記録・管理方法を見直し、新たな体制を構築しましょう。

・提出日のログ作成
・控えのスキャンと電子保存
・提出証明書類の整理・保管方法の確立 など


まとめ

収受日付印の押なつ廃止は、税務手続きのデジタル化に向けた大きな一歩です。企業の皆様には、提出記録の管理を徹底し、e-Taxの利用を積極的に検討いただくことをおすすめします。

税理士法人AOIみらいは、e-Taxの導入、バックオフィスのデジタル化を支援しています。お気軽にご相談ください。

To top