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2025.05.13
【事業承継・相続】保険を活用して“争族”を防ぐ。中小企業オーナーが押さえるべき実例12選

相続や事業承継は、多くの中小企業オーナーやそのご家族にとって避けては通れないテーマです。
「うちはまだ大丈夫」と思っていても、相続や事業承継の“その時”は突然やってきます。実際、納税資金の不足や家族間トラブルで、会社や財産を手放すケースも少なくありません。
こうした“もしも”に備える手段として、近年『生命保険』の活用が注目されています。「相続税の納税資金をどう準備するか」「自社株の分け方はどうするか」など、複雑な問題に対して保険が果たす役割は大きいのです。
この記事では、相続・事業承継における保険の活用例を、法人・個人それぞれの視点でご紹介します。
※この記事は、2025年5月時点の法令に基づき執筆しています。税制や相続制度は今後変更される可能性があります。最新情報については専門家にご相談ください。
目次
相続・事業承継における保険のメリットと役割
こんなお悩み・課題に保険が役立ちます
ステージ別 保険活用のイメージ
個人資産の相続における保険活用例
- 1.相続税の納税資金を準備したい
- 2.不動産中心の相続で分割が難しい
- 3.再婚家庭など相続関係が複雑
- 4.特定の人に確実に財産を渡したい
- 5.現金化しにくい資産に備えたい
‐ 6.争族リスク(相続トラブル)を避けたい
法人資産・事業承継における保険活用例
- 7.自社株の納税・買戻し資金を備えたい
‐ 8.経営者・役員の死亡保障を確保したい
‐ 9.事業承継時の他の相続人への配慮をしたい
- 10.自社株の集中と分散をコントロールしたい
- 11.法人契約による資金積立をしたい
- 12.法人・個人間の資金移動を計画的に行いたい
まとめ
相続・事業承継における保険のメリットと役割
相続や事業承継を考えるとき、遺言書の作成や不動産の整理、生前贈与などがまず頭に浮かぶ方が多いかもしれません。それらに加えて、「生命保険の活用」も有効な選択肢となります。
生命保険を活用することで、相続・事業承継の場面で次のようなメリットが得られます。
保険は資金確保と遺産分割を両立させる“実行力のある対策”となります。
・相続税納税に必要な現金を確実に確保できる
・遺産の分割をスムーズに進めやすくなる
・受取人を指定できるため“争族”対策に有効
・税務上の非課税枠を活用できる
こんなお悩み・課題に保険が役立ちます
相続・事業承継に関する悩みや不安は人それぞれですが、実は多くの課題に保険で備えることが可能です。よくあるご相談とその対応例を紹介します。
「相続税の支払いが不安」
→ 保険金で納税資金を確保。相続財産が不動産中心で現金が少ない方におすすめです。
「事業承継で他の相続人と不公平にならないか不安」
→ 自社株を後継者に、その他の相続人には保険金で現金を分配。公平な承継が実現できます。
「特定の人に確実に資産を残したい」
→ 保険なら受取人を自由に指定でき、法定相続人以外への資産移転も可能です。
「後継者が決まっていない」
→ 保険金を活用して、事業の売却や清算、廃業後の資金確保に備えることが可能です。
「法人・個人間の資産の整理をしておきたい」
→ 保険契約を活用することで、資金移動や役員退職金などの整備にも有効です。
「家族や親族でトラブルにならないか心配」
→ 保険金は受取人固有の財産。遺産分割協議の対象外となるため、争いを未然に防ぐことができます。
ステージ別 保険活用のイメージ
以下の表では、個人・法人それぞれの資産について、ステージごとの活用方法を整理しています。
ご自身やご家族の状況と照らし合わせながら、必要な対策を考えるヒントにご活用ください。
タイミング | 対象 | 活用方法 |
---|---|---|
相続前 | 個人資産 | 保険加入による納税資金準備 |
相続前 | 個人資産 | 受取人指定による資産の分配対策 |
相続前 | 法人資産 | 法人契約保険での資金積立 |
直前 | 個人資産 | 特定の人へ財産を遺すための設計 |
直前 | 法人資産 | 役員死亡保障・事業継続資金の確保 |
相続発生後 | 個人資産 | 現金化が難しい資産への対応 |
相続発生後 | 法人資産 | 買い戻し資金・退職金原資としての活用 |
個人資産の相続における保険活用例
個人が所有する資産の相続では、現金以外の資産や家族構成の複雑さが原因でトラブルが発生しやすくなります。以下では、生命保険を使って円滑な相続を実現する方法を紹介します。
1.相続税の納税資金を準備したい
相続税は、原則として相続発生から10ヶ月以内に“現金で”納付する必要があります。現金が十分にないと、不動産の売却や借入に追われるケースも。保険で準備すれば、被相続人の死亡と同時に確実な現金を用意することができ、納税トラブルを回避できます。
2.不動産中心の相続で分割が難しい
相続財産の大半が自宅や賃貸物件といった不動産の場合、複数の相続人で“公平に分ける”ことが難しくなります。保険金を使えば、不動産を相続した人以外に現金を渡す調整ができ、家族間の納得感が得やすくなります。
3.再婚家庭など相続関係が複雑
配偶者に子どもがいる、前妻との間に子どもがいるなど、関係性が複雑な場合、財産の分配でトラブルが起こりがちです。保険なら、受取人を個別に指定することができるため、意図した人に確実に資金を渡すことが可能です。
4.特定の人に確実に財産を渡したい
孫や内縁関係の相手など、法定相続人でない人にも財産を残したい場合、遺言書だけでは十分でないことも。保険の受取人に指定すれば、遺産分割協議とは無関係に確実に資金を渡せる手段となります。
5.現金化しにくい資産に備えたい
不動産や自社株など、すぐに売却できない資産を多く保有していると、いざという時の対応が難しくなります。生命保険を使えば、相続発生と同時に現金を受け取れるため、他の資産の換金リスクを回避できます。
6.争族リスク(相続トラブル)を避けたい
「相続=争続」と言われるほど、財産の分け方が原因で家族が揉めるケースは少なくありません。保険金を使って分配に差が出た相続人への“補填”をすれば、あらかじめ不満を防ぎ、家族の関係性を守ることにつながります。
法人資産・事業承継における保険活用例
法人資産の相続・事業承継では、自社株の移転や資産管理、相続人への配慮など複合的な課題が発生します。保険を戦略的に活用することで、実行可能な承継が可能になります。
7.自社株の納税・買戻し資金を備えたい
自社株に高い評価がついていると、相続時に高額な税金が課される可能性があります。納税や買戻し資金の確保に保険を使えば、事業継続に必要な株式を計画的に集約・承継することが可能になります。
8.経営者・役員の死亡保障を確保したい
経営トップの急逝は、取引先・金融機関・社員すべてに大きな影響を与えます。保険金により、緊急時の資金繰りや後任体制の整備に必要な運転資金を確保することができます。
9.事業承継時の他の相続人への配慮をしたい
経営を引き継ぐ子と、経営に関与しない他の子どもへの財産配分に悩むケースは多いです。保険金を使えば、後継者には株式、他の相続人には現金という形で公平感を出すことが可能です。
10.自社株の集中と分散をコントロールしたい
後継者に株式を集約したい一方で、すべてを渡すのに抵抗がある場合など、段階的な移転が求められます。保険契約を活用しながら、相続時に適切な持株比率へ調整することができます。
11.法人契約による資金積立をしたい
解約時の返戻金を活用して、退職金や株式買戻し資金の積立が実現できます。
12.法人・個人間の資金移動を計画的に行いたい
将来の退任や資産承継を見据えて、法人から個人へ計画的に資金を移すには、退職金支給や保険解約金の活用が有効な手段となります。税制にも配慮した設計が必要なため、専門家の支援が重要です。
まとめ
相続や事業承継は、感情的・法的・財務的な側面が絡み合う、非常にデリケートな問題です。生命保険を活用することで、現金の確保、資産の分配、税務上の工夫など、多くの課題に対する具体的な解決策が見えてきます。
準備を後回しにするほど選択肢は狭まり、対応も難しくなります。「まだ早い」と思わず、まずは一歩を踏み出すことが大切です。
税理士法人AOIみらいでは、30年以上の相続税申告・事業承継支援の実績があり、弁護士・司法書士・社会保険労務士・公認会計士と連携した士業ワンストップ体制のもと、法人・個人問わず、将来を見据えた相続対策をサポート可能です。
また、当法人は保険代理店として、相続・事業承継に関するご相談に対し、保険を活用したソリューションを提供できる体制を整えています。
「何から始めたらいいのかわからない」と不安を感じている方も、お気軽にご相談ください。
取り扱い保険会社
・メットライフ生命
・ソニー生命保険
・プレデンシャル生命保険
・日本生命