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2026.04.03
「まず小さくやってみる」。税理士法人が挑んだ経営課題解決〜AOIみらいカンファレンスレポート〜

税理士法人AOIみらい CEOの杉山です。
2025年10月10日、私たちは「AOIみらいカンファレンス」を開催いたしました。
カンファレンスでは、私たちがこれまで直面してきたリアルな経営課題と取り組み内容を、強力なパートナーである社外重役メンバーと共にご参加いただいた顧問先の皆様へお話しさせていただきました。
AOIみらいの社外重役メンバーは、人事・育成・営業・コーチング・ファシリテーションといった各分野のスペシャリストたちです。毎月1回の会議では、私が包み隠さず経営課題を相談し、それに対して専門家の視点から率直な意見や提案をいただいています。
彼らの優しく、時には厳しいお力添えがあったからこそ、私たちは一歩ずつ前に進むことができました。
失敗もたくさんありましたが、一つひとつの課題に真摯に取り組むことで、社員一人ひとりの納得感や成長意欲が高まり、会社という組織がまるで生き物のように着実に成長していると実感しています。
本記事では、当日のセッションレポートをお届けします。組織を良くしたいとお考えの経営者・管理職の皆様に、一歩を踏み出すヒントにしていただければ幸いです。
目次
セッション1:【組織・人事】MVVと評価制度で作る、最強ワンチームの土台

組織人事コンサルタント 齋藤 裕己 氏(ハナサカワークス株式会社)
課題:スキルはあるが、価値観が合わない
最初のセッションでは、組織づくりの根幹となる「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」と「人事評価制度」についてお話ししました。かつてのAOIみらいは、即戦力を求めてスキル重視の採用を行っていました。確かに仕事はできる人が入ってきます。しかし、会社の方向性や大切にしている価値観と合わない人材が入ることで、組織に歪みが生じてしまうこともありました。
「個」としては優秀でも「チーム」として機能しない。結果として離職率が高止まりし、採用しても定着しないという負のループに陥っていました。
解決策:チーム全員が合意する「共通のモノサシ」をつくり、運用する
この課題に対し、齋藤氏の支援のもと「組織のOS」を書き換えるような改革に取り組みました。それは、評価制度を「給与を決める査定ツール」から、「人材を育成し、ビジョンを共有するためのコミュニケーションツール」へと再定義することでした。
実際にやったこと
MVVの言語化と浸透施策(ストーリーテリング)
自分たちが何のために存在し(ミッション)、どこへ向かい(ビジョン)、何を大切にするのか(バリュー)を明文化しました。
ミッション・ビジョン・バリューは、掲げるだけでは浸透しません。そこで、全社ミーティングで「今月のバリューテーマ」に対する自分の気づきや体験を発表する「ストーリーテリング」を導入しました。最初は話すことに苦手意識があった社員も、今では自分の言葉で堂々とバリューを語れるようになっています。
AOIみらいのミッション・ビジョン・バリューを見る
採用基準の抜本的転換
「スキル重視」から「いい人(価値観が合う人)重視」へ変更しました。「スキルは後からでも教育できるが、価値観の不一致は埋められない」という事実に気づいたからです。
採用面接ではMVVへの共感を最重要視し、カルチャーフィットを慎重に見極めるようにしました。
「育成」を目的とした人事評価制度の構築
それまでは明確な基準がなく、感覚的な評価になりがちでした。そこで、齋藤氏の支援のもと、曖昧だった評価軸を整理し、新たな評価制度を構築。定量目標の達成度だけでなく、「責任感・挑戦・協力協業」といった定性的な行動(バリューの実践度)も評価項目として明確にし、運用することで、社員が納得できる公正な仕組みになりました。
評価基準やウェイトをブラックボックスにせず、「どうすれば給与が上がるのか」「何を基準に評価されるのか」などを明確にし、全社に公開しました。
成果:主語が「私は」から「我々は」へ
採用のミスマッチが激減し、AOIみらいの文化に共感する仲間が集まるようになりました。
また、評価制度を通じて「会社が何を求めているか」が明確になったことで、社員一人ひとりの納得感が高まりました。以前は自分の評価や給与(「私は」)ばかり気にしていた社員が、チームの目標や会社の未来(「我々は」)を主語にして語る文化が醸成されつつあります。これが「最強ワンチーム」への第一歩でした。
セッション2:【営業管理】脱・紹介待ち。能動的に営業活動する文化へ
登壇パートナー:営業支援 H・M 氏
課題:営業状況が可視化されてなく、予測ができない
続いては、事業成長・売上向上に直結する「営業」の取り組みです。
2020年までのAOIみらいは、新規のお客様はほぼ「紹介のみ」で受注していました。紹介をいただけるのは大変ありがたいことですが、一方で「いつ、どれくらい紹介が来るか分からない」という不安定さと隣り合わせでした。
転機となったのは、税理士法人化に伴い「毎年成長していく中長期計画」を策定したことです。 計画を実現するには、偶発的な紹介に頼らず、計画的に受注を獲得できる仕組みが必要だと気づいたのです。
しかし当時の営業活動は各担当者に依存しており、「誰が・どこに・どんな提案をしているか」が社内共有されておらず、組織的な営業戦略がない状態でした。
解決策:コントロール可能な「活動数」を管理指標にする
「受注」は相手の都合もあるため、100%コントロールすることはできません。しかし、「電話をする」「訪問する」「提案する」といった「活動量」は自分たちの意思でコントロールできます。
そこで、「受注目標達成のために必要な活動数」にフォーカスし、誰でも使える身近なツールで見える化することから始めました。
実際にやったこと
高価な営業管理システムではなく「Googleスプレッドシート」を活用
いきなり高機能な営業管理システムを導入するのではなく、コストをかけず、修正も容易なGoogleスプレッドシートで案件管理台帳を作成しました。
案件名・確度・金額・次回アクション日などの必須項目を絞り込み、入力負荷を下げて定着を図りました。
「活動数」の目標設定とモニタリング
「受注目標」ではなく、「活動数(アプローチ数)」に目標を設定しました。
定期的な営業全会議でスプレッドシートをモニタリングし、「活動数は足りているか」「活動予定日を過ぎている案件はないか」を確認し合いました。
埋もれていた「提案機会」の掘り起こし
既存のお客様に対しても、単なる訪問で終わらせず、お困りごとをヒアリングしたり、「現在のご契約内容以外にも対応できることがある」と、AOIみらいのサービス内容を改めてお伝えする機会を作りました。
成果:「待ち」から「能動的」への意識変革
「なんとなく」行っていた営業活動が、「誰に・何を・いつまでに提案する」という行動計画に変わりました。また、スプレッドシートで状況が可視化されたことで、小さなスポット案件の取りこぼしが減り、チーム全体で目標を追う意識が芽生えました。
結果として、「紹介待ち」の受動的な姿勢から、計画的にお客様へ価値を届ける能動的な姿勢へ大きく転換しました。また、活動量が担保されることで売上予測の精度も向上し、毎年着実に売上を増加させるています。
セッション3:【人材育成】1on1の外部委託が人を育てる

登壇パートナー:株式会社innovista 代表取締役 岩崎 崇 氏
課題:「自分のやり方で、本当に社員は成長するのか?」という迷いと限界
3つ目は、組織の持続的な成長に不可欠な「人材育成」と「リーダー育成」のテーマです。
かつてのAOIみらいでは、CEO自らが全社員との1on1面談を行っていました。導入当初は、社員の不満や不安を率直に話せる「ガス抜き」の場として機能していましたが、組織の課題の洗い出しがある程度終わり、改善に向かう流れができた頃、新たな課題に直面しました。
それは、「社員の成長につなげる1on1にしたい」という想いと、「自己流でやり続けて、本当に社員の成長につながるのだろうか」という迷いです。
加えて、社員数が増え、CEO一人で全員と面談を続けることに物理的な限界を感じ始めていました。
解決策:心理的安全性が担保された「第三者」との対話
上司と部下の関係では、本音を引き出すのに限界があります。そこで導入したのが、利害関係のない「第三者」による1on1です。
そこで私たちが決断したのが、信頼できる外部のプロコーチへの委託です。専門的な傾聴と対話支援を行うコーチが伴走することで、質の高い対話の時間を確保できます。
さらに、評価者である上司との面談とは切り離し、共感的な伴走者であるコーチとの対話を通じて、より本質的な成長支援を行う体制へとシフトしました。
実際にやったこと
- プロコーチによる「外部委託1on1」の導入
外部のプロコーチ(岩崎氏)が定期的に社員と1on1を実施。社内の人間には言いにくい悩みやキャリアの希望、モヤモヤを吐き出せる「心理的安全性の高い場」を用意しました。
コーチは否定せず、答えを与えず、専門的なスキルで社員の思考を整理させ、「自分はどうしたいのか」を引き出します。 - 「ガス抜き」から「成長支援」へのフェーズ移行
導入初期は不満の吐き出し、ガス抜きが中心でしたが、徐々に目標設定や課題解決へと対話の質を変えていきました。
成果:自ら考え行動する「自走する組織」へ
1on1の場があることで、日常的に「安心して話していいんだ」という感覚を育むことができ、ビジネスマナーに沿った話し方や、開かれた場でのコミュニケーションも、社員自身が自然と身につけられるようになってきています。
こうした第一段階をクリアできた実感があり、今後はさらに、社員一人ひとりの成長スピードが加速していくことを期待しています。
また、経営者自身も現場の感情的な対応から解放され、経営判断のスピードと精度が向上しました。「事業成長のために手放す」という決断が、組織の土台を固める結果となりました。
税務だけじゃない。AOIみらいには「頼れるパートナー」がいます
今回の登壇者は、単なる一度きりのゲストスピーカーではありません。AOIみらいの社外重役として経営シェア会で毎月集まり、時には耳の痛い指摘もしながら、共に汗をかいてくれている「仲間」です。
AOIみらいは、単なる税理士事務所ではありません。
自ら経営課題解決に取り組み、失敗も成功も経験してきたからこそ、机上の空論ではない「生きたソリューション」を提供できると確信しています。
税務会計の枠を超え、経営の困りごとを一緒に解決するパートナーでありたいと強く願っています。
- 「人事評価制度を入れたいが、何から手をつければいいか分からない」
- 「営業を見える化して、売上を安定させたい」
- 「幹部を育てたい、1on1を導入してみたい」
- 「経営計画を作りたいが、進め方が分からない」
このような課題をお持ちの経営者様は、ぜひお気軽にお声がけください。

