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2023.10.28

【電子帳簿保存法】2024年1月より電子取引のデータ保存が必須。今年中にやるべき4つのステップ

2024年1月から、電子帳簿保存法に改正に基づき「電子取引のデータ保存」が義務化されます。紙の注文書・請求書・領収書は紙での保存で問題ありませんが、電子取引については、データ保存できるよう準備が必要です。

今回の記事では、電子帳簿保存法のうち、「電子取引のデータ保存義務化」にフォーカスして解説いたします。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、帳簿・決算関係書類・取引先とやりとりした請求書・領収書などの書類を、データで保存するためのルールを定めた法律です。データを保存することで、プリントアウトやファイリングの手間が省けたり、必要な書類をすぐに探し出せるなどのメリットがあります。

電子帳簿保存法は電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引の3種類に分けられます。
このうち、電子帳簿等保存、スキャナ保存は任意ですが、税制改正により2022年1月1日から「電子取引データ保存」が義務付けられました。


24年1月からは電子取引のデータ保存が必須

「電子取引データ保存の義務化」とはどんな内容なのか。

たとえば、
・紙の請求書もPDFで送られてくる請求書も、すべて印刷し紙で保存
・印刷した後は、PDF等の電子データは保存しない

このようなフローで帳簿・請求書・領収書を管理している場合、今後は

・電子取引は、紙で印刷・保存したとしても必ずデータ保存をしなければならない
・紙の印刷・保存は不要 (行っても差し支えない)
というフローに変えなければなりません。

電子取引データ保存の義務化は2022年1月1日より施行されているものの、2年間の宥恕措置期間が設けられています。23年12月で宥恕措置は終了し、24年1月からは電子取引はデータ保存が必須となります。


23年12月までにやるべき 4つのステップ 

ステップ1 対象となる自社の電子取引を把握する

最初に、すべての取引を整理し、電子取引に該当するか否かを把握しましょう。メール添付でのやりとりだけでなく、紙を介さない取引すべてが電子取引に該当します。特に、営業担当者の立替経費や交通系ICカードによる支払いがないかは注意が必要です。

電子メールの本文に取引に関する情報が記載されている場合は、その電子メール自体を保存する必要があります(当該メールをPDFなどに変換して保存することも認められます)。

また、取引情報をダウンロードできない場合は、Web画面のスクリーンショットを保存してもよいとされています。

電子取引に該当する例
・メール添付で交付・受領した請求書
・クラウドサービスで交付・受領した請求書や領収書など
・ウェブサイト上でダウンロードした領収書
・インターネット銀行の取引情報
・クレジットカードの明細
・スマホアプリ決済の利用明細
・DVD、USBなど記録媒体での受領

ステップ2 取引データごとの保存方法と保存先を決める

次に、データの保存方法と保存先を決めましょう。適切な取引を証明するため、以下の要件のうちいずれかを満たした状態で保存しなければなりません。

保存要件(①〜④のいずれかが必要)
①タイムスタンプが付与されたデータを受領する
②受領側が、速やかにタイムスタンプを付与する
③訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムを利用する
④改ざん防止に関する事務処理規程を定めて運用する

改ざん防止の措置に加えて、税務調査で求められた際に対応するため、必要なデータを検索できる状態での保存が義務付けられています。規則性のあるファイル名をつける、Excelなどで索引簿を作成するなどの方法で要件を満たせます。

検索要件を確保する義務がない場合(※)でも、後からデータを確認する場合に備えて、検索機能のあるシステム使用する、規則的なファイル名を付けるルールを作るなど、検索要件を確保しておくと便利です。

※2024年1月1日以降に行う取引について、基準期間における売上高が従来から認められている1,000万円以下の事業者に加えて、5000万円以下である事業者も検索機能の確保が不要となります。まず自社が対応必須なのか・不要なのかを確認してみましょう。

ステップ3 事務処理規程の整備

電子取引データ保存に関しては、事務処理規程の作成が必要な場合があります。
(例:STEP2の要件④を選択した場合など)

「事務処理規程」とは、電子取引データの正当な理由がない訂正および削除を防ぐために自社で決めるルールをまとめた文書のことです。事務処理規程が必要な場合は、以下の国税庁ホームページからサンプル(ひな形)のダウンロードが可能です。

【個人用】訂正削除の防止に関する事務処理規程(Word形式)
【法人用】訂正削除の防止に関する事務処理規程(Word形式)

ステップ4 社内ルールを整備・共有する

電子取引のデータ保存は、営業担当者の立替経費や交通系ICカードによる支払データなども該当するため「経理担当者だけが知っていればいい」という話ではありません。保存すべき取引情報が誤って破棄されないよう、電子取引のデータ保存ルール、どのように対応してほしいかなどを社内に周知しておきましょう。

社内ルールの例
・電子データのみで受領するものはデータのまま保存(紙に印刷しない)
・電子データのまま、経理担当者へ渡す
・社内でデータの受け渡し方法や保存場所を決めておく

タイムスタンプや訂正削除履歴が残るシステムの導入には初期費用がかかりますが、電子取引だけでなくスキャナ保存や電子帳簿保存に対応しているシステムもあり、一括で管理できるのが特徴です。


まとめ

電子帳簿保存法 電子取引のデータ保存義務化について解説しました。宥恕期間が終了する前に、保存ルールの設定・フロー確率・周知を実施しておきましょう。

また、この機会に会計システムの導入・見直しを行うこともおすすめします。タイムスタンプや訂正削除履歴が残る、スキャナ保存や電子帳簿保存にも対応しているシステムを導入すれば経理業務の効率化にも繋がります。

弊社は多くの会計システムに対応しております。疑問や不安があれば、税理士法人AOIみらい(東京都新宿区)にお気軽にご相談ください。

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