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2025.04.11

【2025年版】中小企業向けの補助金まとめ

日本の中小企業を取り巻く経営環境は、原材料価格の高騰、深刻な人手不足、そしてデジタルトランスフォーメーション(DX) やグリーン化(GX) への対応など、多くの課題に直面しています。このような状況下において、補助金・助成金は、中小企業がこれらの課題を克服し、成長を実現するための支えとなります。

本記事では、2025年の中小企業経営者が注目すべき、主要な補助金・助成金を紹介します。


2025年の特徴と最新動向

2025年の補助金の全体的な傾向として、中小企業の稼ぐ力を強化し、持続的な賃上げを促進する政府の強い意図が読み取れます。物価高や構造的な人手不足といった経済状況に対応するための重要な政策方向性と言えるでしょう。

新規創設の補助金

特に注目すべきは、新事業への進出や事業転換を積極的に支援する動きです。代表的な例として、新たに創設された『中小企業新事業進出補助金』が挙げられます。この制度は、中小企業が既存の事業領域から新たな分野へ挑戦し、成長を目指すための設備投資などを支援するものです。

一方で、中小企業の事業再構築を支援してきた事業再構築補助金は、2025年が最終(第13回)公募となります 。『中小企業新事業進出補助金』へと役割を引き継がれる予定です。

新たな動きとしては、『中小企業成長加速化補助金』が創設されました 。売上高100億円を目指すような高い成長意欲を持つ中小企業に対し、大胆な設備投資などを支援するものです。また、人手不足が深刻化する中で、中小企業省力化投資補助金が引き続き重要な役割を果たします 。

既存の補助金

既存の補助金も、再編と重点化が進んでいます。

ものづくり補助金では、申請枠が製品・サービス高付加価値化枠とグローバル枠の2つに集約され、より戦略的な取り組みを支援する体制となりました。小規模事業者持続化補助金も、特別枠が整理され、経営計画の策定に重点が置かれるようになります。

IT導入補助金は、2025年では最低賃金近傍の事業者に対する補助率の拡充、導入後の活用支援が補助対象に追加されるなど、より実務に即した支援内容となっています。

小規模事業者持続化補助金は、事業計画の策定に重点を置きながら、様々なタイプの小規模事業者を支援する枠組みへと進化しています。

事業承継・M&A補助金では、M&A後の経営統合を支援する新たな枠組み「PMI推進枠」が創設され、事業承継後の円滑な運営を強力にサポートする体制が整いました 。補助上限額も引き上げられ、より多くの支援が期待できます。


主要な補助金一覧

補助金名 目的と概要 対象条件 金額の上限下限 申請期間
IT導入補助金 業務効率化、生産性向上、セキュリティ対策のためのITツール導入を支援 中小企業・
小規模事業者
通常枠:5万~450万円、
インボイス枠:5万~350万円
セキュリティ対策推進枠:5万~150万円
複数社連携IT導入枠:~450万円/社
2025年3月31日~(複数回締切あり)
ものづくり
補助金
生産プロセス改善、革新的な製品・サービス開発を支援 中小企業・
小規模事業者
製品・サービス高付加価値化枠:750万~2,500万円(従業員数による)、グローバル枠:最大3,000万 2025年2月14日~4月25日
中小企業新事業進出補助金 新市場への参入や高付加価値事業への進出に必要な設備投資などを支援 中小企業等 2,500万~7,000万円(従業員数による、大幅賃上げ特例あり)、下限750万円 2025年4月頃~(予定)
小規模事業者持続化補助金 販路開拓や生産性向上に取り組む小規模事業者を支援 小規模事業者 通常枠:上限50万円(特例で最大250万円)、創業型:上限200万円(特例で最大250万円)、共同・協業型:最大500万円、ビジネスコミュニティ型:最大200万円 2025年5月1日~6月13日
事業承継・M&A補助金 事業承継やM&Aに伴う経営革新や経営資源の引継ぎ、PMIを支援 中小企業・
小規模事業者
事業承継促進枠:800万~1,000万円、専門家活用枠:最大2,000万円、PMI推進枠:最大1,000万円、廃業・再チャレンジ枠:上限150万円 2025年春以降(予定)
中小企業成長加速化補助金 売上高100億円を目指す成長志向型の中小企業による大胆な設備投資を支援 中堅・中小企業
(売上高10億円以上100億円未満)
上限5億円 2025年5月8日~6月9日(1次公募)
中小企業省力化投資補助金 人手不足解消や生産性向上のための省力化投資を支援 中小企業・
小規模事業者等
カタログ型:200万~1,000万円(従業員数による)、一般型:750万~8,000万円(従業員数による) 2025年1月30日~3月31日(1次公募) 

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等がITツール(ソフトウェア、サービス等)を導入する費用の一部を補助することで、労働生産性の向上を図ることを目的としています。

2025年度の主な変更点として、最低賃金近傍の事業者に対する補助率が1/2から2/3に拡充される点が挙げられます。地域別最低賃金+50円以内の賃金で雇用している従業員が全従業員の30%以上である事業者が対象となります。

また、補助対象経費が拡充され、ITツールの導入だけでなく、その後の運用や活用を支援する費用(活用支援)も補助の対象となりました 。さらに、セキュリティ対策推進枠では、補助上限額が100万円から150万円に引き上げられ、小規模事業者に対する補助率も2/3に強化されました。

申請にはGビズIDプライムアカウントの取得と、情報セキュリティ対策への取り組みを自己宣言するSECURITY ACTIONの宣言が必要となります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、中小企業・小規模事業者等が生産性向上を目的に、革新的な製品・サービスの開発や生産プロセスの改善に必要な設備投資などを支援する制度です。

2025年度の大きな変更点として、申請枠が「製品・サービス高付加価値化枠」と「グローバル枠」の2つに再編され、「省力化(オーダーメイド)枠」が廃止されました。また、最低賃金の引き上げに取り組む事業者に対して補助率がアップ(1/2から2/3へ)す特例が設けられます。

さらに、従業員規模区分の見直しや補助上限額の一部拡充も行われ、大幅な賃上げに取り組む場合には、補助上限額がさらに上乗せされる可能性があります。

申請にあたっては、付加価値額の向上、給与支給総額の増加、事業所内最低賃金の引き上げといった基本的な要件を満たす必要があります。

事業再構築補助金 / 中小企業新事業進出補助金

事業再構築補助金は、ポストコロナ社会や経済環境の変化に対応し、事業の再構築に挑む中小企業等を支援する国の制度であり 、2025年が第13回公募となる最終回です。

後継となるのが、新たに創設される『中小企業新事業進出補助金』です。この補助金は、中小企業等が企業の成長・拡大に向けて、既存事業とは異なる新たな事業分野へ進出する際に必要な設備投資や事業費を支援することを目的としています。

中小企業新事業進出補助金は、設備投資だけでなく、建物費や構築物費も補助対象となります。補助金額は従業員数に応じて異なり、大幅な賃上げを行う場合は上限額が引き上げられる特例もあります。

申請にあたっては、付加価値額の年平均成長率+4.0%以上、給与支給総額の年平均成長率+2.5%以上、事業所内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上の水準といった基本的な要件を満たす必要があります。賃上げ目標が未達成の場合、補助金の一部返還が求められる可能性があるので、注意が必要です。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者が経営計画を自ら策定し、商工会・商工会議所の支援を受けながら取り組む販路開拓や生産性向上などのための費用を支援する制度です。

2025年度は、政策の原点回帰として経営計画の策定がより重視されるようになります。これまでの特別枠「卒業枠」や「後継者支援枠」が廃止され、「創業型」「共同・協業型」「ビジネスコミュニティ型」などの新たな枠組みが設けられました。

補助上限額は、通常枠で上限50万円(インボイス特例などを活用すれば最大250万円)、創業型で上限200万円(特例で最大250万円)、共同・協業型で最大500万円 30, ビジネスコミュニティ型で最大200万円など、申請枠によって異なります。

申請にあたっては、地域の商工会または商工会議所の支援を受け、経営計画を作成する必要があります。

事業承継・M&A補助金

事業承継・M&A補助金は、中小企業の生産性向上や持続的な賃上げを目的に、事業承継に伴う設備投資や。M&Aの専門家活用費用などを支援する制度です。2025年度は、補助上限額が引き上げられるとともに、M&A後の経営統合(PMI)に必要な費用を支援する「PMI推進枠」が新たに設けられました。

申請枠は、事業承継促進枠、専門家活用枠、PMI推進枠、廃業・再チャレンジ枠の4つに整理されています。補助上限額は枠によって異なり、例えば専門家活用枠では、一定の要件を満たす場合に最大2,000万円の補助が受けられます。

PMI推進枠では、PMI専門家活用類型で上限150万円、事業統合投資類型で上限800万~1,000万円の補助が受けられます。

中小企業成長加速化補助金

中小企業成長加速化補助金は、将来的に売上高100億円を目指し、大胆な投資を行う中小企業を支援する新たな制度です。中小企業が更なる成長ステージへと飛躍するための強力な後押しとなることが期待されます。

補助上限額は最大5億円で、売上高10億円以上100億円未満の中小企業が対象です。

申請にあたっては「売上高100億円を目指す宣言」を行うこと、1億円以上の設備投資を行うこと、一定の賃上げ要件を満たす事業計画も策定が求められます。

中小企業省力化投資補助金

中小企業省力化投資補助金は、人手不足に悩む中小企業・小規模事業者等の省力化投資を支援する制度です 。2025年度は従来のカタログ注文型に加え、よりオーダーメイドに近い投資に対応できる一般型が新設されます。

補助上限額は従業員数や申請枠によって異なり、一般型では最大8,000万円(大幅賃上げ特例適用時は1億円)、カタログ型では200万~1,000万円(従業員数による、大幅賃上げ特例あり) となっています。

申請には、労働生産性の向上や給与支給総額の増加、最低賃金の引き上げといった要件を満たす事業計画の策定が必要です。

その他の注目すべき補助金

上記以外にも、各省庁や地方自治体などが、特定の分野や地域に特化した様々な補助金・助成金を提供している可能性があります。中小企業経営者の皆様は、自社の事業内容や所在地域に合わせて、これらの情報も積極的に収集することをお勧めします。


まとめ

2025年は、中小企業経営者の皆様にとって、事業の成長、革新、生産性向上、そして持続可能性の実現に向けて、多くのチャンスが提供される年と言えるでしょう。

本記事でご紹介した主要な補助金・助成金をはじめ、様々な支援策を検討し、自社の事業戦略に合致するものを積極的に活用していくことが、今後の企業成長の鍵となります。

税理士法人AOIみらいは、認定支援機関として、中小企業の皆様の事業成長を全面的にサポートいたします。補助金・助成金の選定・申請交付後の手続きまで、皆様のニーズに合わせた最適な支援を提供いたします。

補助金・助成金に関するご相談は、お気軽にご連絡ください。

参考サイト紹介


経済産業省
国の経済政策全般を所管しており、中小企業向けの補助金・助成金に関する情報も幅広く提供しています。
https://www.meti.go.jp/ 

中小企業庁
中小企業政策の企画・立案の中心的な機関であり、様々な補助金・助成金に関する詳細な情報や公募要領を公開しています。
https://www.chusho.meti.go.jp/ 

各都道府県庁
各都道府県も、地域に所在する中小企業を対象とした独自の補助金・助成金制度を設けている場合があります。「(お住まいの都道府県名) 補助金」などのキーワードで検索し、各都道府県庁のウェブサイトを確認することをお勧めします。

ミラサポplus
中小企業・小規模事業者向けの総合的な情報サイトであり、補助金・助成金に関する情報だけでなく、経営に関する様々なノウハウや支援機関の情報も提供しています。
https://mirasapo-plus.go.jp/ 

補助金ポータル
多数の補助金・助成金情報を集約し、検索や比較が可能な専門サイトです。分野や対象者などの条件で絞り込むことができるため、効率的な情報収集に役立ちます。
https://hojyokin-portal.jp/ 

jGrants 
多くの政府系補助金の申請がオンラインで行えるプラットフォーム。
公募中の補助金情報も掲載されています。
https://jgrants.go.jp/

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