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2023.03.30

貸倒損失とは|取引先の倒産・未回収に備えましょう

取引先の倒産などで売掛金や貸付金の債権が回収不能になった場合、貸倒損失として計上することができます。
法人税の減額、消費税減額(消費税が含まれる債権の場合)にも繋がります。

しかし、金銭債権が回収不能になってすぐに計上できるわけではありません。
貸倒損失の計上は【要件】と【時期】が決められています。

貸倒損失を計上するための要件

貸倒損失を計上できるのは、以下の3つの要件のいずれかに当てはまる場合です。

①法律上の貸倒れ
会社法や民事再生法などの適用により、金銭債権が法的に無効になった場合を指します。
金銭債権が切り捨てられた金額を貸倒損失として処理することができます。

②事実上の貸倒れ
取引先の債務超過などによって支払能力が低下し、金銭債権の全額が回収不能となった場合を指します。
ただし、金銭債権の担保物が残っている場合は、担保物の処分をしなければ貸倒れとして計上できません。
保証人を立てている場合も、まず保証人から債権回収を行う必要があります。

③形式上の貸倒れ
取引停止から一定期間弁済がなく、金銭債権の回収が困難になった場合を指します。
取引先が督促に応じない、金銭債権の回収費用が元の金額を上回るケースが該当します。


貸倒損失の計上時期はピンポイントで決まっている

貸倒損失は、貸倒れの発生事由によって計上時期が決まっています。

①法律上の貸倒れ:民事再生法などの適用が決定された事業年度
②事実上の貸倒れ:回収できないことが明らかになった事業年度
③形式上の貸倒れ:取引停止後、1年以上経過した日以降の事業年度

上記の事実があった年度に貸倒損失の計上をしなかった場合、不良債権のまま帳簿に残り続けてしまいます。
また、貸倒損失の計上が早すぎる場合、税務上損金不算入となりますので、計上のタイミングには注意が必要です。



このような事態にならないためには、取引先の与信管理が大事という前提ですが、
万が一に備えて、税務会計の処理について頭の片隅に入れておいていただけますと幸いです。

貸倒損失は認められるための要件が厳しく、ピンポイントでの損失計上が必要です。
3つの要件に該当しそうな取引がある場合は、お気軽にご相談ください。

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