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2023.05.15

インボイス制度 概要・変更点・準備のポイント

2023年10月1日から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が導入されます。

インターネット上では免税事業者への影響に関する情報が目立ちますが、
すでに課税事業者の企業・個人も対応すべきことがあります。

この記事では、概要・変更点・取組のポイントを紹介いたします。

目次

1.インボイス制度とは
2.何がどのように変わるのか
3.やるべきこと、検討すること

インボイス制度とは

インボイス制度とは「適格請求書保存方式」のことをいいます。

所定の記載要件を満たした請求書などが「適格請求書(インボイス)」です。
インボイスの発行または保存により、消費税の仕入額控除を受けることが可能です。

インボイス制度は売り手、買い手双方に適用されます。
売り手は、取引相手(買い手)から求められたときには、インボイス交付が必要です。
買い手は、原則として取引相手(売り手)から交付されたインボイスの保存が必要です。

制度の詳細については、国税庁のWebサイトを参照ください。

何がどのように変わるのか

ここではおもに、課税事業者である法人目線でで変更点を紹介します。

1.請求書の記載事項
インボイスは、現行の「区分記載請求書」に記載事項が追加されます。
現行の「区分記載請求書」の記載事項は次のとおりです。

(1) 請求書発行事業者の氏名又は名称
(2) 取引年月日
(3) 取引の内容(軽減対象税率の対象品目である旨)
(4) 税率ごとに区分して合計した対価の額
(5) 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称

インボイスは「区分記載請求書」の記載事項に加え、次の3つが追加されています。
(1) 登録番号
(2) 適用税率
(3) 税率ごとに区分した消費税額等

記載事項追加の背景に、2019年10月1日の消費税率引き上げに伴い、食料品などに対し軽減税率が導入されたことが挙げられます。

8%と10%、2つの税率が運用されているため、どの取引にどちらの税率が適用されているかを明確にする必要が出てきました。


2.仕入額控除
仕入税額控除とは、生産や流通などの取引段階で消費税が累積しないよう、仕入れにかかった消費税を控除する制度です。

これまでは、取引先から発行される請求書があれば仕入税額控除を受けられました。
しかし制度開始後は、インボイスの提示がなければ仕入税額控除が受けられなくなります。


3.免税事業者との取引
免税事業者とは、年間の課税売上高が1,000万円以下の事業者のことで、消費税納税義務が免除されています。

インボイス制度では、免税事業者など適格請求書発行事業者以外から行った課税仕入れは、原則として仕入税額控除が認められません。

免税事業者はインボイスを発行できないからです。

そのため免税事業者に発注している場合は、その分の消費税を負担しなければなりません。

※経過措置として、インボイス制度の導入から当面の間は、現行の「区分記載請求書等」であっても一定割合の仕入税額控除が認められています。


4.経理事務が煩雑化する
インボイスは課税事業者である適格請求書発行事業者しか発行できません。

そのため、仕入れ先にインボイスが発行できない免税事業者がいた場合、免税事業者と課税事業者を分けて経理処理をする必要が出てきます。

やるべきこと、検討すること

すでに課税事業者の場合

1.適格請求書発行事業者の登録申請
年間課税売上高が1,000万円以上の課税事業者であれば、インボイス制度が適用されます。

インボイス発行の資格を得るには、事前に「適格請求書発行事業者」の登録を受け、登録番号取得が必要です。
(2023年10月1日から適用を受けたい場合には2023年9月30日までに登録番号取得)

申請方法の詳細は、国税庁のサイトで解説されています。
e-Taxによる申請後に税務署の審査を経て適格請求書発行事業者として登録され、登録通知書が送付されます。


2.インボイスに対応した受発注、請求書管理システムの導入
現在使用中の受発注・請求書管理システムが、インボイス未対応の可能性があります。
システム改修や切替が発生する可能性があるため、早めの確認と対策をおすすめします。


3.請求書や帳簿のフォーマット変更
インボイスは、現行の「区分記載請求書」の記載事項に登録番号、適用税率、税率ごとに区分した消費税額等の項が追加されます。

請求書や帳簿などを、要件を満たしたフォーマットにしておくよう準備が必要です。
また、税額計算方法が一部変更となるため、経理フローの見直しもおすすめします。


4.免税事業者へインボイス番号登録有無確認、取引内容見直し
(※免税事業者との取引がある場合)

買い手の立場として必要な準備です。
取引先からインボイスが発行されないと、消費税の仕入額控除を受けることができません。発注先に免税事業者がいる場合、インボイス番号取得の予定があるか確認しましょう。


免税事業者の場合
免税事業者は、適格請求書発行事業者になるため課税事業者になるか、選択が必要です。
適格請求書発行事業者になると、年間の売上高が1,000万円以下であっても消費税の申告義務が生じます。

課税事業者にならない場合、課税事業者と取引に影響が出る可能性もあります。
取引状況に応じて対応方法をご検討ください。

まとめ

インボイス制度は、課税や免税に関わらず影響があり、制度開始前の準備が重要です。

免税事業者は、適格請求書発行事業者に登録するかどうかを選択する必要があります。
また、適格請求書発行事業者になる場合は、新たに消費税の納税義務が発生します。

課税事業者は、適格請求書発行事業者になってもならなくても、納税方法に大きな違いはありません。
ただし、取引先が適格請求書発行事業者かどうかによって、納税額が左右されます。

また、インボイス制度に対応した請求書の管理や帳簿の作成などの事務処理については、十分な対策が必要です。

インボイス制度開始までに、制度の概要だけでなく経過措置や支援措置なども理解して、ゆとりを持って各種申請や準備を進めましょう。

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